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かんぼこらーめん

萌え語りをする為に借りたブログ。くだんねー妄想しかありませんのでご注意を!

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短い話

2008/01/02(Wed)22:46

デュフォーと清麿の夏の夜の話。
なんかもやもやしてるのでご注意下さい。





・・・
  
「……はあ。」
台所でちらりと睨んだ時計が指していたのは、午前一時。
とんでもない時間に起きてしまったものだと溜息を吐きながら、清麿はコップに注いだ麦茶に口をつけた。
冷たい心地が喉に伝わり、そのまま腹へと落ちる。蒸し暑い夜にはその冷たさがありがたくて、清麿は麦茶を一気に飲み下した。
「……さて、これからどうすっかな……」
コップを洗い場において、リビングへと足音を立てないように向かう。
暗く、電気も点けていない部屋は足元がおぼつかなくて危うさを感じたが、窓の近くは月灯りが照らしており、それほど暗さは感じなかった。
月明かりが何故か心地良さそうなものに思えて、清麿はそっと窓の近くへと近づく。
そうして外の空を見上げれば、完璧な円を描いた月が、雲一つもない星空に鎮座していた。
「おお……すげえ」
ガッシュに付き合って早寝早起きが日常になっていたので、この暗さで静かに光る月を見るのは久しぶりで。
清麿は呟くと、暫しそのまま月を眺めた。
空は暗黒の帳を広げ、小さな星や月を一層美しく輝かせている。主役である星達は幾億と散り、ささやかな、それでも力強い光を放ち続けている。月も、その光に負けぬほど強く輝いていた。
「何をしている」
「ッ!!?」
心を落ち着かせて空を見ていた拍子にいきなり声をかけられて、清麿は思い切り体をびくつかせた。
夜中だと自制が働いて、声が出なかったのは幸いだ。
慌てて後ろを振り返ると、そこには意外な人物が発っていた。
「デュフォー? どうしたんだ」
呼ばれた人物は、相変わらずの無表情のまま清麿の隣へと歩いてくる。
そうして、こちらを向いてぼつりと言った。
「お前が起きているから、不審に思って来た」
デュフォーのその率直な言葉に苦笑して、清麿はデュフォーを見やる。
「暑くてな。ちょっと目が醒めちまったんだ」
言うと、デュフォーは納得したように小さく頷いて空を見上げた。
「満月か」
短く切り捨てる相手に、今度は清麿が頷く。
「こんなに明るいのってあんまり見た事なくってさ」
清麿自身もそう言葉巧みに己の心を表現できるわけでは無いので、簡素にそう言う。デュフォーも同じ性質の人間だからか、清麿の思いを汲み取って目を瞬かせると、黙って月を見た。
「……まだ、暑いか」
「ん……。いや、そう言えば……暑くないな」
気付けば、あれほど不快だった熱は去り、今は心地良い温度に眠気が襲ってこようとしていた。
何故だかは良く解らないが、とても良い心地だ。
清麿は重くなってきた目蓋を軽く擦って、デュフォーに笑った。
「明日は少しだけ涼しくなるようだ」
テレビで言っていたのを聴いたのか、それとも自分で出した答えなのかは解らないが、デュフォーは間違いなど無いと言うようにはっきりと言う。
根拠があるのかなど解らないのに、清麿にはなぜかそのデュフォーの言葉が間違いのないもののように思えて、ゆっくりと頷いた。
「眠くなってきた」
笑い声交じりの小さな声でそう言うと、デュフォーはこちらを向いて首を傾げる。
「ここで寝たら、風邪を引くぞ」
「そうだな」
笑みを含んだ口でそう呟けば、デュフォーは一旦口を噤むと……清麿の肩を自分の胸へと寄せた。
「デュフォー?」
「寝たら、運んでやる。ここにいると、涼しいんだろう? だったら、眠るまでここでお前を支えていてやろう」
照れもなく、なんの変な感情もなく、きっぱりとそういうデュフォー。
鮮やかな皓緑の瞳が見つめて来る様を見つめ返しながら、清麿は口を優しい弧に歪めて相手の胸に体を預けた。
「……なんで、涼しくなったんだろうな……」
「それは、俺にはわからん。……月の光を静かに見ていたからか?」
逆に問いかけてくるデュフォーに、清麿は少しだけ眉を寄せた後瞬きをした。
そういえば、自分はいつから熱さを感じなくなったのだろう。
月を見ていたからだろうか。それとも、空を見たからだろうか。
そう考えて、清麿はある事に思い当たり考えるのをやめた。そうして、デュフォーに答えてやる。
「さあ、どうだろうな」
無意識のうちに出た、からかうような、幸せそうな声。
デュフォーはその言葉と声音に少し驚いたような雰囲気を出して、少し間を置いて清麿をまたゆっくりと抱き寄せる。
少しだけ感情の篭ったように抱き寄せる手を感じながら、清麿は笑ませた目のまま、ゆっくりと視界を閉じた。


心地良い涼しさと、暑さを感じながら。


(了)








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熟年夫婦のようにラブラブなデュ清が書きたかった。
亭主関白で寡黙なデュフォさんと、大和撫子な清麿もいいと思います。
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