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かんぼこらーめん

萌え語りをする為に借りたブログ。くだんねー妄想しかありませんのでご注意を!

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2024/05/15(Wed)11:40

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この世に完璧な人なんて居るわけない

2008/05/11(Sun)23:26


私は完璧不完全人間ちゃん!

というわけで、いつまでも悩んでるばかりではいられないのでリハビリ的な小話を。





メール等は明日必ず返しますねー!(*´∀`*)ノシ

.・・・・・


「清麿、なにをしておるのだ?」
背後から知った声に呼ばれ、清麿はふいとその方を向いた。
「……ちょっと、練習を」
言いつつ、また前を向いて作業に戻る。
ガッシュはいつになく無愛想な清麿の様子に首を傾げ、何をしているのかと近寄ってきた。
清麿はそれを悟って眉を顰めながらも、手と目を離すことは出来ずに今の状況を続けるしかなかった。
その今の状況とは。
「ウヌ……っ き、清麿……それはもしかして……りょ、料理を……」
そう。
今清麿は、必死に野菜の皮を剥いている最中だったのだ。
ガッシュの恐怖を表した声音にさらに顔を顰めつつ、清麿は反論した。
「別に俺が作るわけじゃない。皮むきを手伝ってるだけだ」
への字に曲がった口でそういうと、相手は憎らしいほど分かり易く安堵の溜息を吐く。
(畜生……後で仕返ししてやる……)
そんな暗い事を思いながら、清麿は手を動かした。
何回か包丁を使った事は有るが、それでも経験は間隔が開いていてかなり少ない。要するに今は包丁を握った事があるだけの初心者と一緒の状態だ。
だから、細心の注意を払わなければ行けない。
指を切ったりすれば面倒だし格好悪い。
そう思いながら一生懸命に手を動かしていると、ガッシュが椅子を隣へと持ってきてそれに乗っかった。
ようやく流し台に手を付ける身長になって、それからガッシュは清麿の手つきを見やる。
と、思い切り目を剥いた。
「き……清麿……それはなにかの……」
言われて、目を瞬かせる。
何って、すぐに解るだろうに。
解せぬ事を訊く相手に、清麿は答えてやった。
「人参だけど」
答えた瞬間、ガッシュの顔が驚きに染まり、それから固まる。
「……小さすぎぬか?」
「え?」
言われて、手元を再度見る。
そこには、手に丁度収まるくらいの人参が一本ある。はずだったが。
「…………あれ?」
気付けば人参は、掌大のベビーキャロットになっていた。
いつの間にこんなに小さくなってしまったのだろうか。
本気で理由が解らず首を捻る清麿に、ガッシュは口元を引きつらせながら首を振った。
「清麿、それはいくらなんでも……」
いつもの声とは違う真剣な声でそういわれて、怒る事も出来ずに清麿は半眼の目を泳がせた。
確かに、これはいけないかもしれない。
そうは思ったが納得する事ができず、清麿は反語を返した。
「だ、だがこれはちょっとうっかりしていただけで、次は……」
と言いつつ人参を切り終わった野菜を入れる籠に入れようとすると、また大きくガッシュの目が見開かれた。
視線の意味に気付き、籠を慌てて隠そうとするが、ガッシュの動きの方が早い。
素早く籠を取られて、清麿は両手で顔を隠した。
「こ……こ、これ、は…………」
「…………」
絶句したガッシュが見ていたその籠の中身は……

無残に切り刻まれた野菜だった。

……本来野菜は切り刻まれるのは当たり前だったりするが、この場合は「無残」である。
早い話が、野菜はまるで剣で適当に切り刻まれたかのように酷い有様だったのだ。
「清麿……」
「言うな、何もいうな……」
ここまで同情的な声で名前を呼ばれるともうなんというか、どうしていいか解らない。
思わず両手で隠してしまった顔を出す事が出来ず、清麿はそのまま流し台に額をぶつけた。
自分でも薄々気付いていたが、やはり自分が今まで“剥いて”きた野菜はとんでもないことになっていたらしい。普段食べる野菜の形と異なると思っていたら、予想通りだ。
しかしそんなに酷かったのか、横目でちらりと除き見たガッシュの顔は、一行に元に戻らなかった。
(……そんなに酷いのか……)
重々承知している事だったが、そんなにはっきりと示されると流石に落ち込みたくなる。
「やっぱり無理だ……料理なんてできっこねえええ」
泣きそうな声でそういうと、ガッシュはハッとして清麿を見た。
そうして、すぐに申し訳無さそうな顔をする。
ガッシュがそんな顔をしているとは知らない清麿は、両手で顔を覆ったまま何も言えずに突っ伏していた。
暫くそうして時間が消化される。だが、やがてガッシュは小さく首を傾げて、そっと清麿の肩に触れた。
「清麿、どうしてそんなに落ち込むのだ? 料理ができずとも、清麿は頭が良い。それで良いではないか」
優しくそういわれて、清麿はようやく両手を顔から離しゆっくりと顔を上げる。
見上げたガッシュは、どこか優しい目をしているように思えた。
けれどその目を見つめる事ができず、清麿は目をそらして躯を元の体勢へと戻す。そうして訳を話した。
「……今度、調理実習があるんだよ。…………そこでみんなに迷惑かけるわけには行かないだろ。……だから、練習ついでに手伝いを……」
何だか言うたびに声が小さくなっていく気がする。
けれど後には引けなくて、清麿は必死に目を逸らしたままで口を動かす。
もごもごしながらもやっと訳を話し終わると、ガッシュは一瞬目を瞬かせたものの――ぱっと笑みを顔に閃かせた。
「清麿は本当に律儀だの」
笑いながら言うガッシュに、思わず怒気を含んだ顔を向ける。だが相手は気にせずに笑いながら両手を広げた。
「私は、出来ずとも良いと思うぞ。カレーはびっくりしたが、でも、何でも出来たらその方がつまらぬと思うのだ。それくらいの方が、私は好きだぞ!」
「…………」
何か、反論したかった。
実際そう納得する事は出来ないものだとか、それでは自分が恥をかくとか、将来が大変だろうとか。
けれどそういう捻くれた言葉は喉の奥で消えて、全く発される事はなかった。
ただ、ガッシュのいう事に顔が熱くなったのを感じる。
どうすればいいか眉を顰める清麿に、ガッシュは笑ったままで己の張り上げた胸をトンと叩いた。
「それに、スズメたちはそんなコトで清麿にがっかりすることはないぞ! 私が保証するのだ!」
「……っ……し、しったようなことを……」
ようやく出てきた反論は、発言者の清麿からしても負け惜しみにしか聞こえなかった。
ガッシュもその言葉が弱い事を知っているのか、笑顔をどこか悪戯めいた物へと変えて首を傾げる。
「それに、私は野菜が不恰好であろうと気にせぬぞ」
「何で」
なにか嫌な予感を感じながら不機嫌な声音で返すと、ガッシュは悪びれもせず、大きな声で答えた。

「夫たる物、そのくらいの『どなべ』はないとな!」

一瞬、空気が凍った。
「あ……あ……アホかぁああああ!!」
「照れずともよいぞ!」
「照れてねぇえええええそれに土鍋じゃなくて度量だああああああ」
しかしそう言ってもガッシュは全く怯まず、幸せそうに顔を赤らめながらにこにこと笑い体をくねらせる。
「だから、料理が出来ないくらいどうって事ないのだ! 清麿はそのままで良いのだぞ」
何のかげりもない、嘘もないその言葉が、異様に心に突き刺さる。
脈を早めた心臓に焦るように、清麿の顔は真っ赤になった。
口は開くが、声がうまく出ない。ただ自分のパートナーに戯言を言われただけなのに、何故か自分は全く身動きが取れなかった。
戯言なのに、口惜しい。
清麿は真っ赤になった顔を必死に動かして、ようやく言葉を紡いだ。
「やかましっ…………」
い、と言おうとしたが、その言葉は出てくる事はなかった。
「清麿。だから、私のお嫁さんにくればいいのだ!」
「…………」
本気だ。
ガッシュは多分、本気で言っている。
「……バカ」
結局そんな短い罵倒しかすることが出来ず、清麿は赤い顔で、口を小さく噤んだのだった。



それから野菜は華の手によって綺麗に切り直され、美味しい料理に変わった。
その日は何故か、終始笑顔のガッシュは清麿から離れず、清麿もそれに文句一つ言わなかったという。



まあ、そんな日常の話。





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やはりいま一つですorz
すみませんです。
色々反省したい点がありすぎてもう目も当てられませんが、とりあえずナチュラルに「嫁にする」なんていうガッシュとすぐに真っ赤になる清麿が大好きです。
二人はいつもこういう会話をしているに違いないよ!(いい加減にしろ
っていうかもう、本気で劣化してる。
今度はもっと頑張ります!
.
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No.59|小話CommentTrackback