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かんぼこらーめん

萌え語りをする為に借りたブログ。くだんねー妄想しかありませんのでご注意を!

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2024/05/16(Thu)05:55

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君と出逢ってから心は明るく照らされて

2008/02/28(Thu)02:02


もう色塗り厭きた(;ζ;)
もう七萬&八萬ありがとう絵にします……間に合わない(泣
というワケで小話挑戦。今回は企画物ではないです(スミマセン)。
ガッシュ視点・大人ガ清で、また日常的な小話です。



・・・・・・
「清麿、何を飲んでおるのだ?」
問いかけると、相手は一間置いてこちらに顔を向けた。
その時に、ふわりと香ばしいような匂いがして、ガッシュはひくりと鼻を動かす。この匂いは何度か嗅いだことがあった。
「カフェオレだよ」
ガッシュはその名称に、そう、と心中で呟き頷く。そうだ、確かそれはそんな名前だった。
しかしガッシュにとってそれは好きな物とは言えるものではなく、納得した表情だった筈の顔は、いつの間にか心の模様を写し取り不快を表していた。
清麿はその変化を見ていたのか、自分と同じように顔を顰める。
「何だよ。俺がカフェオレ飲んでたらいけないのか?」
如何にも「文句あんのか」という顔で睨む相手に思わず肩がびくついたが、怯んでは男が廃るとその言葉におずおずと返す。
まあ実際、こんな状態で言い返しても男は廃っているとは思うのだが、それはいつものことなので敢えて気にしないことにしておく。
「い、いや、ウヌ、別にダメだと言うわけではないのだ。ただ……その……」
言いながら、ちらりと清麿の持つマグカップを見やる。
暖かそうな湯気を空へ放ち、胸を焦がすような独特の香りのそれは、とても美味しそうだと思う。
色からしても、優しいホワイトとブラウンが混ざり合っていて興味を引かれた。だが……。
ガッシュはばつが悪い、と解り易く表情で示しながら、口を尖らせてぼつりと呟いた。
「……苦すぎて、嫌いなのだ」
そう、苦いのだ。特に清麿の飲むカフェオレは。
普通のカフェオレなら砂糖も入っているし牛乳も入っているから甘くて、自分だって笑顔で飲みきれる。だが、清麿がいつも飲んでいるカフェオレはどうしてか苦いのである。
初め、清麿の飲んでいる物が気になって思わず飲んでしまった時は、喉が苦味で支配されて大いに苦しんだ。
何故こんな物を飲むのだと、清麿に逆恨みを募らせたりしたものである。
ガッシュにとっては、苦い飲み物は敵だった。
コーヒーだって砂糖やミルクが入って無いと飲めないし、お茶だって苦いのは苦手だ。
喉を通るあの焦げにも似た味は、どうも許容しがたかったのである。
なのに、清麿はそれを平然と、しかも美味しそうに飲んでいる。
これが不思議で不可解でなくてなんだというのだ。
ガッシュがそんな思いを込めた目で、じっと清麿を見やると、清麿は呆気にとられた顔をしていた。
「……そんな、理由で?」
意表を突かれたような声を出し清麿は暫し固まっていたが、やがて我慢できなくなったのか、無理に声を押し殺しながら笑い始めたのだ。
少し身体を折り笑うその様は少し可愛かったが、それよりも笑われた事がショックで、ガッシュは慌てて反論した。
「そ、そんな理由で、ではないのだ! 喉が大変なことになるのだぞ、清麿には解らぬだろうがその苦いカフェオレはおかしいのだ! そんな変な味のものをよく平気で飲めるの清麿!」
そう、苦い、その飲み物は苦くておかしいのだ。
清麿がそんな苦い飲み物を飲めることの方がおかしいのだ。決して自分がおかしいわけではない。だから、笑われるのは不当だ。
ガッシュはそう思うが、それが巧く口に出てこない。
頬に熱がこもるのを感じ、また自分は子供っぽく頬を紅潮させて怒っているのだなと思ったがとめられなかった。
だっておかしいのはその苦い飲み物なのだ。
だが清麿はそんなガッシュの思いを汲んではくれず、ずっと笑いを漏らしながら、空涙を拭っていた。
「お前……本ッ当にガキだなー」
「ヌォオ!?」
自分のどこが子供だ!と反論しようとして開いた口は、ずいっと差し出されたマグカップに封じられる。
今はその香ばしい匂いさえも脅威だった。
そんなガッシュをニヤニヤとした笑いで見やりながら、清麿は嘯く。
「あのな、大人はこれくらいの味じゃないとダメなんだよ」
「ヌ……それはどういうことなのだ」
清麿の出した「大人」というキーワードに思わず反応する。
すると清麿は嫌な笑みのまま、マグカップを手近に戻して口をつけた。
「あんまり甘すぎるのも、大人になると嫌になってくるんだよ。カフェオレ然り酒然り」
湯気を頬に当て揺らしながら、清麿は苦い飲み物を飲む。
「ウヌゥ……」
――確かに、清麿は大人である。
自分よりも数歳年上で、性格も知識も思考も自分よりずっと大人だ。
背だって体格だって自分が勝っているのに、それらは一生抜くことは出来ない。それほど、ガッシュから見て清麿は大人だった。
自分の知らない話を知り、知らない知識を記憶し、考えも及ばない事を考える。
何もかも一枚上手の事を返してくる清麿は、ガッシュから見ても確かに大人だ。
だが、それがどうして苦い物を好むことに繋がるのか。
「何故苦い方がいいのだ」
甘い方が舌に優しいだろうと言うと、清麿はまた口を緩く吊り上げた。
「甘すぎてもダメなんだよ。ま、これは大人にしかわかんねー感覚だぁなー」
言いながら、清麿はまた自分を馬鹿にしたように笑ってカフェオレを口に含む。
憎らしい。可愛さあまって憎さ百倍である。いや、可愛い方も大分あるが、それでも憎い方がちょっと上である。
兎も角、なんだかむかっ腹が立って仕方が無かった。
(わ、私だって昔よりは大人になったではないか、清麿もそれを認めておったではないか。なのに、私は清麿よりもまだまだ子供だというのか? まだ釣り合わないといいたいのか……)
腹が立つ原因は自分が一番よく解っている。
大好きな人と釣り合っていないと言う不満と、相手の余裕ある態度へのわがまま。
……そして、いつまで経っても清麿をリード出来ない自分のせいだ。
いつでも一歩先を行く大人な清麿に、ガッシュはいつも子供だなと笑われる。
愛し合っているはずなのに、対等な筈なのに、一行にその格差はなくならない。
その事に不満を漏らすのも子供の証拠だと解ってはいるが、まだまだ成熟の足りない自分の感情は今にも子供のように駄々をこねたくて暴れていた。
こんなことじゃ、大人にはなれない。
清麿と、肩を並べられない。
解っているのに、どうしても壁は高くて乗り越えられなかった。
「ガッシュ?」
暗い顔で悩んでいたガッシュに、清麿は心配そうに声をかけてくる。
だが、今のこの気持ちでは“オトナ”な対応は出来そうにない。
口を尖らせて黙り、己の気持ちを閉じ込めることしか出来ないガッシュに、清麿はそのままじっとこちらを静かに見つめ――微笑んだ。
思わず驚くガッシュに、清麿はそのまま頭を軽く叩いてくる。
「もしかして、むくれてるのか?」
「……ちがうのだ」
「俺が悪かったよ。からかってごめん」
「……」
眼前にある、優しくて温かい顔。
いつも見てきたその大好きな表情に、自然と眉間の皺が無くなっていく。
ちらりと見ると、清麿は一層優しく笑った。
「今はまだダメだろうけど、もう少ししたらお前だって飲めるようになるよ」
その言葉に、ガッシュは顔を上げた。
「ほんとうかの……?」
問うと、相手は少しだけ首を傾げ、それからゆっくり頷いた。
「ああ。嘘じゃない」
清麿のその笑顔としぐさに、嘘はないのだと分かる。目を瞬かせ相手の綺麗な目を見つめると、清麿は少し恥ずかしそうにして目を細めた。
優しい時の清麿の顔だ。
ガッシュはその笑みに自然と頬を緩めると、顔を輝かせた。
「ほんとにほんとだの!?」
「ああ。俺だって最初から苦いの飲めたわけじゃないからな」
清麿の苦笑交じりの台詞に、ガッシュは目を丸くする。
「清麿も、苦いのは嫌いだったのか?」
「そうだ。昔はコーヒーだって眉間に皺寄せながら、不味い不味いと思って飲んでたよ」
信じられない。今は平気でブラックのまま飲み干している清麿が、コーヒーが苦手だったなんて。
幼い記憶を辿っても、平気で苦そうな飲み物を飲んでいる清麿しか思い出せなくてガッシュは困惑したが、清麿の様子からそれは本当のことだったのだと理解した。
清麿は意地っ張りだったから、自分にはそんな事を知られたくなかったのだろう。
「だから、お前だって俺と同じように、平気で何でも飲めるようになる」
間近にあるその微笑に染まった顔は、昔と変わらない。
自分よりも大人で、知性的で、優しい顔。
自分がずっと見上げ続けてきた、愛しい顔だ。
「清麿……」
その笑みに心が引き絞られた感覚がして、ガッシュはそっと清麿の髪を梳いた。
柔らかで指に絡んでもすぐに解けてしまうその心地も愛しくて、思わず笑みが浮ぶ。
先ほどまで子供同然に荒れて暴れていた心は凪ぎ、いつのまにか相手に対しての感情は愛しさにすり替わっていた。
やはり、自分はまだ子供なのかもしれない。
相手の挙動一つでこんなに心が様変わりし、己で感情を制御出来ないのだから。
けれど、それも全て清麿に操られているのだと思うと、何故か心はむず痒く暖かい心地に浸かって行った。
「ガッシュ、飲んでみるか?」
「ヌ?」
まどろみのような甘く感じる雰囲気の中、清麿が苦い思い出のあるマグカップを差し出す。
意地悪ではない。純粋に、飲んでみるかと言っている。それは理解している。
だが、やはり苦い思い出のあるそれはガッシュの心を幾分か冷静に戻した。
また、苦さを味わうことになるのだろうか。あの嫌な感覚を。
けれど。
「ほら、もしかしたら平気かもしれないしさ」
清麿が笑顔でそういうと、冷静な心はまた夢見心地に戻されてしまって。
(ヌゥ……苦いのは嫌なのだ……だが、折角清麿が進めておるのだし、それに……)
もしかしたら、自分も大人になれているのかもしれない。
「ほら」
言いながら差し出されるマグカップに、自然と手が伸びる。
既に湯気の消えた暖かい色の飲み物は、波紋を小さく作っていた。
ちらりと前を見ると、微笑んでいる清麿が居る。……もう後には引けまい。
ガッシュは意を決して、それをほんの少しだけ、飲み込んでみた。
「…………」
「どうだ?」
「……苦いのだ……」
べっと舌を出し、苦さを逃がそうとしてみるが何にも変わらない。
眉を寄せて清麿に助けを請うと、清麿は笑って水を差し出してくれた。
それを受け取りながら、ガッシュは心底がっかりする。
大人になれているかもと期待したのに、カフェオレは自分にはまだまだ苦いとしか思えなくて、結局まだ自分は子供なのだと思い知る結果になってしまった。
「うーん……これまだ甘い方なんだけどな……」
「ヌォオ!?」
ばつが悪そうに呟いた清麿の一言に、更なるショックが襲う。
これでも、この苦いのでも、清麿にはまだ甘いといわれるのか。
これでは一生追いつけそうにないのだが。
思わず涙目になってきたガッシュを見て、清麿は独り言が聞こえていたのに気付いたのか慌ててフォローをした。
「い、いやでもガッシュ、前と比べてどうだった。前と同じくらい苦かったか?」
「ヌ…………」
言われて考えてみる。
……確かに、前と比べるとまだ苦くは無かった気がする。飲める方だったとは思う。
その意味を込めて素直に首を振ると、清麿は嬉しそうに顔を綻ばせた。
「だったら、そんなに気を落とすなよ。お前ももうちょっとしたらこんなの平気で飲めるようになるさ」
「ほ、本当かの!?」
清麿の言葉に思わず身を乗り出すと、清麿は嘘は言わないと大きく首を振る。
どうやら本当に本当らしい。
「だから、そんなに気を落とすなよ」
「そうか……そうなのか! 私も成長しておるのだな!」
前よりも、自分は大人に近付いている。清麿へと近づいている。
いつか清麿と肩を並べられる日が来るのだ。
そう思うと嬉しくて、ガッシュは思わず清麿に抱きついた。
普段なら「いきなり抱きつくな」と怒るのに、清麿は今日は怒る事はしなかった。ただ、ガッシュの広くなった背中に手を回し優しく叩いてくれながら、黙っていてくれる。
その仕草は子供に対するものだと解っていたが、今はそんなことどうでもいい。
自分を受け入れてくれる嬉しさと、いつか清麿をリードできるようになるという事実が、ただただ嬉しかった。
そう、苦いカフェオレだっていつかは飲み干せる。
例え追いつけなくたって、自分も大人にはなれるのだ。
「清麿、決めたぞ! 私も今日から清麿のカフェオレを飲むことにするのだ!」
「え……あんな苦そうにしてたのにか?」
「慣れればきっと苦いのも平気になるのだ! 苦い飲み物を全部克服できた時、私は立派な大人になれているということなのだ。だから、早く苦いのを平気になれるように頑張るのだ!」
「んな極論な……」
そうは言うが、ガッシュにとってはそれが大人の証だ。
清麿と同じものを飲んで「美味しいね」と笑いあえる関係こそが、ガッシュにとっての肩を並べる関係なのだ。
だからこそ、早く苦い飲み物を克服しなければ。早く大人になりたい。
そんなことを考えながら清麿を抱き締めるガッシュに、清麿は呆れ顔だったものの、そのまま大人しく抱かれてくれていたのだった。
「……苦味を克服したって、大人になったことにはならねぇんだけどなあ……」
「ヌ? 何かいったかの?」
「いや、あー……えっと、まあ頑張れよ」
「ウヌ!」


この分だと、ガッシュが本当の意味での「大人」になれるのは大分先のようである。







(了)

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子供舌とかあるので、一概にはそうとは言えませんよね! 因みに私は子供舌です。苦味を普通に感じれる人は大人のほうがおいよねって話でした。
ガッシュ視点なんですけど、まとまってない感じになってしまって申し訳ないです……orz
子供っぽい攻め、という視点が巧く書けない。そういや大人ガッシュは常にロマンチック目線で書いてた事を思い出しました。
今後の課題です。頑張って子供っぽい攻めをマスターしたいと思います。
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